パンツを引き下げられ、そしてあきおくんも自らトランクスを脱いだ。
あきおくんの下腹部にくっつきそうなくらいに起立しているそれは、とても大きく見えた。
「俺のも」と言ってあきおくんは私の手を自分のそこへ導いた。
おそるおそる触れると、それは私の手に少し余るほどの大きさだった。
少しだけ握ってみるとそれは硬い弾力を持って私の手に感じられた。ゆっくりと扱いてみた。皮と身との摩擦を、私は本能的に知っていた。
あきおくんは、「あ、気持ちいい」と吐息した。
お互いに少しだけ生えている陰毛をつまんだりもした。あきおくんは、私の愛液を自分のものの先に塗りつけていた。「それ、気持ちいいの?」と言うと「うん、ぬるぬるしている方が気持ちいい」と言った。
セックスとは、ペニスを私のあそこに入れることである、とは知っていた。しかしそのときは、そのことが信じられない思いだった。
あきおくんのこれが、私のここに入る?それは、とても、本当にいやらしい行為のように思えた。
「セックスって、これを○○ちゃん(私の名前)のここに入れることだよね」
あきおくんは言った。あきおくんも知っていた。けれど、入れてこようとはしない。
「ぬるぬるしてたら気持ちいいから、ここに入れたら気持ちいいよね」
私はそんなことを言った。入れて欲しかった。
けれど、アダルトビデオを見たにも関わらず、どんな格好をすればペニスがここに入るのか、私はさっぱり見当がつかなかった。
ビデオの中ではフェラチオしているところもあったのだが、私にはそれはできなかった。だから、入れたらいい、と思ったのだった。
「入れてもいい?」
あきおくんが訊いてきた。
私はうなずいた。
けれどやはり、どうすれば入るのかは分からず、ただ寝転んでいただけだった。
「じゃあ」あきおくんがまた身体を起こした。「入れるね?」あきおくんの膝が、私の両足を割った。
あっ、と思った。「や、恥ずかしい」私は足を閉じた。あきおくんの腰を挟む格好になった。「だめだよ、入らないじゃん。」あきおくんは私の足を持ち、開き、膝を折った。
あきおくんのものが、私の入り口に触れた。
ああ、そうか、こういう格好すれば入るのか、などと冷静な自分もいたが、私の頭の中は、あきおくんのペニスが触れた快感でいっぱいだった。びっしょり濡れていた私に、あきおくんは抵抗無く入ってきた。
あきおくんが侵入し、私達の腰がぶつかりあった瞬間、快感は絶頂に達した。
「あ…」お互いのくちびるから声が漏れた。
何度か、腰をぶつけあった。
くちゅん、と音が響いた。
ぱん、と肌がぶつかりあう小さな音も。
「ん…はっ…」と、声にならない声も。
しかしそれは、3、4度ほどだけだった。
あきおくんの動きが止まったのだ。
あきおくんは、私の上に崩れてきた。
「だめ…イっちゃった…」
苦しい息の中、あきおくんはそう言った。
いっちゃったって、どういうこと?私は思ったが、口には出さなかった。
あきおくんはとても気持ちよくて、気持ちよすぎて動けなくなったんだ、と思った。
私の胸の上で息を上げているあきおくんを愛しく思い、私はあきおくんの背中を抱きしめた。しばらくそうしていると、あきおくんが私の中からあれを引き抜いた。
ちゅっ、と小さな音を立ててそれは私から離れた。私も身体を起こすと、私の入り口からこぼれるものを感じた。生理になったのか、とあわてて腰を浮かすと、白濁した液体が太ももをつたった。
「なに、これ?」悲鳴混じりの声を上げると、あきおくんが「精子だよ」と教えてくれた。
「精子って、あの精子?」あきおくんはうなずいた。
精子について、なんとなく知っていた。赤ちゃんができるときに、関係するもの。
けれどそのとき、私は「エッチをすると男の子は精子を出すんだ」という驚きが強く、妊娠の危険性についてはなにも感じなかった。もう生理のある年齢なのに。
私達は、こぼれた精液を拭い、ちょっとだけついてしまったコタツ布団は水をかけて揉み、証拠隠滅を図った。
この行為が親にばれたらいけない、ということは知っていた。
時計を見ると、5時半だった。私はなぜか、この時刻を鮮明に覚えている。
あきおくんは、私の家をあとにした。玄関まで見送りに行った私に、また長いこと深いキスをして、じゃあね、また学校で、と帰っていった。
あきおくんが帰った後、私は保健体育の教科書を開き、精子について調べた。
そして、精子が入ると妊娠してしまうこと、それを防ぐためにはコンドームという物を使わなければならないこと、がわかった。
私は焦った。どうしよう、赤ちゃんができてしまう、と思い、動揺した。
そして、ドラマで見た「生理がないの」というシチュエーションと結びつき、生理が来たら妊娠じゃない、と思い、生理来ますように、とすがるように祈った。
しかし杞憂に終わった。その日のうちに生理になったのだ。
性に関して興味が発達した私は保健体育の生殖に関する部分は読んでいた。
しかし妊娠するという概念については興味が乏しく、ただ、男の人にはペニスがあり、それを女の人の膣に入れることがセックスというものだ、という認識だけしていた。
この日を境に、妊娠という概念が私の中に芽生えた。そして、避妊という概念も。
私は貯金箱を空け、コンドームを買いに走った。ドラッグストアの駐車場の端っこに、その自動販売機があることは知っていた。そしてそれはちょっといやらしい物を売っているということも知っていた。
けれど、それはコンドームという物で、避妊に使うものだということは考えてもいなかった。私は、車通りと人通りのないスキを見計らって、コンドームを買った。
家に帰ると、母が帰宅していた。
私はコンドームの箱がばれないよう、持っていた手提げを体の陰にしながら「おかえり」と言った。「今まで友達の家に行ってたの」とも。
自分の部屋に入ると、内側から鍵をかけた。そして、買ってきたコンドームを開封し、1つをまじまじと観察した。
小さなゴム製品だな、というのが第一印象だった。そして説明書のように装着してみたくなり、工作道具ののりの容器を出し、それにかぶせ、注意深く引き下ろした。
意外とすんなりとかぶせることに成功し、私は嬉しく感じていた。そうか、これをおちんちんにつけてセックスをすると、あの精子がこれに出て、あそこの中には出されないんだ。だから、赤ちゃんはできないんだ。
私は、避妊についてこうして学んだ。
次の日、いつもと同じようにあきおくんと下校した。そして、ひそひそ話をした。
精子を身体の中に出すと、赤ちゃんができてしまうこと。それを防ぐために、コンドームっていうゴムをおちんちんにつけてセックスすれば大丈夫なこと。
要点は、その2つだった。
あきおくんも、なんとなくは知っていたようだ。ただ昨日は、自分でも驚くほどすぐに出てしまい、家に帰ってから私と同じように保健体育の教科書を見てビックリしたと言っていた。
私は、直後に生理がきたので大丈夫、赤ちゃんはできないよ、と言った。あきおくんは、「そうか」と言った。
そして、「生理ってどんな感じ?」と訊いてきたので簡単に教えてあげた。それまでは、男子が生理のことをからかうと嫌な気持ちになったがあきおくんにはすんなりと話すことができた。
そして、「この生理が終わったらまたしよう」と言った。
今思えば、小学5年生の私達がこんなことを話していたことがとても不思議なことに感じられる。
とても多感な時期であるにも関わらず、私達は秘密を共有することによって急速に親しくなり、性のことについてこんなにもオープンに話すことができていた。
だから、あきおくんは私の生理について理解を示し、からかう男子とは一線を画して「いい男」になっていた。少なくとも私にとっては。
そして私も、あきおくんから聞く性についての話にたくさんのことを学んだ。
朝はあのときと同じように勃起すること、小学校に入る頃ぐらいからオナニーしていたこと、初めて射精したのは、朝の勃起のときで、夢から引きずり起こされるような感覚で気が付いたらパンツが濡れていたこと。
そして次からはそれを自分でできるようになったこと。
私も、自分で触ることを教えてあげた。けれど、いったことはまだなかった。その頃は、触って気持ちよくなることが「いく」のだと思っていた。
不思議なことに、あきおくんとは気まずくなることは全く無く、むしろお互いの生理について知ったことでそれまで以上に優しく接していた。
だから下校を共にすることもそれまで通りであり、別れ際にキスさえすることもあった。
1週間ほどして生理が終わると、私はすぐにあきおくんのことを意識していた。セックスしよう、と思った。
まだ週休二日制じゃなかったw土曜日、下校のときに私はあきおくんをうちに誘った。「ご飯食べたらうちにおいでよ」あきおくんは、すぐに返事をした。
私は、母が作っておいてくれたお弁当を食べ、シャワーを浴びた。