もうかれこれ10年近く同じ道を走るのを日課にしていており、すれ違う人達とも一言二言天気の話などを交わす位です。
話はそのジョギングの途中で気になる娘を見かけるようになったのが始まりです。
15〜8歳くらいの高校生らしき女の子でサイクリングロードの途中にあるベンチに決まって一人で座っていました。
女の子は髪は金色に染めて肌はこんがり焼けている、いわゆる黒ギャル系でした。
彼女は大抵ベンチに腰かけてスマホをいじりながらタバコをふかしていました。
女の子はヤンキーぽい雰囲気だったしどこか不機嫌にも見えたのですれ違う人とは大体挨拶するようにしている自分もさすがに声をかけるの事ができませんでした。
第一最近は変な事件も多いしただでさえ若い女の子に声をかけるのには躊躇します。
「なんか天気が怪しいなぁ、いつもより早いけど雨降る前に走りに行くか」
その日は夕方から曇り空で雨が降る前にジョギングに行くことにしました。
しかし、いつもの折り返し地点あたりからポツポツと雨がふりだします。
「ふってきたか」
小雨だったしそのまま走り続けました。
しかし数分後にはバケツの水をひっくり返したような大雨にかわりました。
「うひゃー」
もうこのまま家まで濡れて帰ることも考えたのですがちょうど雨が強くなりだしたタイミングで、あの女の子がいつも座っているベンチが目に入りました。
そこには屋根がついていたので雨宿りでしばらく様子を見ることにしました。
いつもより時間も早いし雨ということもあって女の子の姿はありませんでした。
「少し待って降り続けるようなら走って帰ろう、このままここにいても風邪をひくだけだし」
そんなことを考えていると赤い傘を持った人が目の前を通り過ぎました。
赤い傘がベンチの前でピタッと止まると傘の影から顔を出したのはあの黒ギャルの女の子でした。
「・・・・」
一瞬無言でにらみ合いになりました。
「・・・・いつもより早いね」
先に口を開いたのは女の子の方
「あ、ああ雨が降りそうだったからね、結局ふられちゃったけど」
女の子は近所の高校の制服をきていました。
「いま帰りかい?」
「あ? 見ればわかるじゃん」
女の子は自分の制服を見下ろしてからそっけなく言いました。
「で、どうすんの?」
「え?」
女の子の言葉の意味が分からず聞き返すと女の子は小さく舌打ちします。