〈素人オンリーの完全無修整動画サイトです。貫通前と貫通後の処女膜の違いを明確に確認することができちゃいます〉
水野は興味を持ち、月5000円ほどの視聴料を支払って会員になった。この会社は似たような動画サイトを三つ運営していた。
そのうち、水野は自分でも動画を撮り、それをこの会社に買ってもらいたいと思うようになり、こんなメールを送った。
〈初めまして。私はサイトを見ていた素人ですが、趣味で素人の女の子を撮影しています。お金に困っている20歳の女の子を撮影した画像を添付させて頂きますので、何卒ご検討下さい〉
水野としては一か八かの賭けだったが、幸いにも相手と連絡が付いた。それも〈たまたま今、東京にいますので、会いませんか?〉と誘われたのだ。水野はいくつかの画像データを用意し、喜んで会いに行った。
「なかなかいい出来だと思います。これからはまず、撮影しようとする女の子のヌード写真を事前にこちらに送っていただけますか。ゴーならそのまま撮影して下さい。
ただし、女優と男優には必ず当社との契約書にサインしてもらうようにして下さい。内容はその都度、メールで打ち合わせしましょう。作品の編集はこちらでやりますから」
こうして水野はAV監督として契約することになった。うまくやれば、1本30~40万円の報酬を受け取ることができる。女優に半分支払い、男優に日当程度の謝礼を渡しても、10万円以上が手元に残る。正直、収入面でも助かった。
もちろん、妻には内緒だったが、ネットで知り合った女に“高額バイト”を持ちかけ、ハメ撮りするだけで金になるのだから、たまらない。クライアントには「アメリカの法でやっているから大丈夫」と言われ、安心していた。
慣れてくると、自分で企画を考えて撮影するようになった。
『バツ1女のけしからんオナニー。本当はチ○コの方が好きなんじゃないの?』
『初心者マークをつけた女に運転を教えてあげましたが、Hは初心者ではありませんでした』
『絵画教室に通う女子に太筆を持たせました』
など、ふざけたタイトルを付けたデータを男女の誓約書とともに送り、商品化されると、ギャラを振り込んでもらっていた。
あまりに何度も海外から金が振り込まれるのを不審に思い、銀行が問い合わせてきたが、「海外で売れた陶芸品の代金だ」と言って、ごまかしていた。
そんなことを繰り返しているうち、「他でもやってみない?」と別の業者を紹介された。
そこは日本でやっているところだったが、アメリカの会社でNGを出された“ブス”でも買い上げてくれるので、重宝することになった。とりあえず女と知り合った時点で撮影しておけば、最低8万5000円になるという皮算用が成り立ったからだ。
こんな裏バイトを続けながらも、陶芸家としては先生扱いされていた。41歳の時には日本伝統工芸展で入選し、受賞作品を宮内庁に買い上げられた。水野の妻は何も知らず、帰宅が遅いのは陶芸に打ち込んでいるからだと思い込んでいた。
ところが、摘発の手は着実に水野にも伸びていたのだ。ある女性が「無修整DVDと知らずに出演させられた」と警察に訴えた。これで内偵捜査が始まり、AV制作者である水野は簡単に割り出された。
あとは物証等を押さえるだけだったが、刑事が行動確認している時、水野と接触したのが現役小学校教師にしてキャリア3年のAV女優という野木純子(27)だった。
純子は隣の席で刑事が見ているとも知らず、「無修整でインターネットに流れる」との一文が入った同意書に喫茶店で署名。その時点で、わいせつ電磁的記録媒体頒布幇助の容疑者として捜査対象になった。
一方、水野は逮捕前日にも純子とは別の女優を使って、無修整AVの撮影をしていた。その女優は以前にも出演経験がある女優だったが、クライアントに気に入られ、「他の作品も出したらどうか。2絡みで中出しNGでも生挿入でゴムは禁止。顔出しして下さい」という指示を受けていた。
その翌日、突然警察の急襲を受けた。水野としては寝耳に水。前日に撮った作品が販売目的所持の動かぬ証拠とされ、保存用のSDカードや同意書などが押収された。そのあおりを食ったのが純子だった。
純子は、水野が無修整画像を流すのを知りながら協力したという共犯者として逮捕された。純子は本名でオペラ歌手としての日常をブログに綴っており、逮捕で素性がバレてしまった。
また、所属していた音楽事務所のプロフィールから、小2から高2までNHKの児童合唱団に所属し、国立芸大に進学した才媛であることも判明。週2回ほど小学校で音楽を教えている現役の非常勤講師であることも明らかになった。
さらに致命的だったのは企画モノの表AVにも出演し、自らを「ソプラノのオペラ歌手」と自己紹介した上、いぶかしがる男優たちの前で美声を披露。
「素晴らしい!」と拍手喝采を浴びていたことだ。その容姿がブログの写真とも一致。彼女の個人情報は競い合うように暴露され、インターネット上では“祭り”が起こってしまった。
当然ながらマスコミも事件を追い、純子が教壇に立つ姿と裸の写真を対比するように掲載され、問題の裏AVの内容も詳述されることになった。
〈男優がむさぼるようにクンニすると、みるみる秘貝は濡れそぼり、受け入れ万全の状態に。その中を人差し指と中指で激しくかき回されると、いきなり潮を吹いてしまう…〉
〈やがて男優が荒い息遣いでフィニッシュを迎え、彼女の中に放出すると、トロリンと白い液体がアナルに向かって垂れていった…〉
純子が出演していた作品は二部構成で150分。第二部では乳首をつねられたり、生尻をスパンキングされるなど乱暴に扱われ、彼女のドMぶりが暴かれていくという内容になっている。
〈ソプラノの声であえぎ、騎乗位でカラダを揺らす。大人のおもちゃを使ったプレイや、自ら「出して」とおねだりするなど、恍惚の表情を浮かべながらまたもや中出し昇天。底知れない性欲は、とても女教師とは思えないほどだ…〉
こんな女教師でも勤務態度は良く、「教育熱心で、生徒一人一人に個別指導を行うなど丁寧に授業をしていた。コミュニケーション能力も高く、周りの教員とも仲良くやっていた」というのが表の顔だった。
前代未聞の騒動に勤務先の小学校は「一切コメントできない」と沈黙を貫いた。
純子は当然ながら非常勤講師をクビになり、オペラ歌手の道も事実上、断たれたが、こうした仕打ちが「社会的制裁を受けた」と判断され、正式裁判まではいかず、罰金刑で済んだ。
一方、水野は法廷でも強気の姿勢を崩さず、現在も否認して争っている。
「サイトを運営していたのはアメリカの会社で、著作権も同社が持っている。私は作品を納品しただけで、サイトに流す行為には一切関与していない。私を裁くのなら、アメリカの法律でやってもらいたい」
水野は事件後、妻に激怒され離婚の憂き目に遭ったが、陶芸家としての地位は失っていない。一体、この事件の本当の被害者は誰なのだろうか。
(文中の登場人物は全て仮名です)
[引用/参照:http://wjn.jp/article/detail/9379445/]
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□ 無修正AVに出演し逮捕された小学校講師の"ソプラノ喘ぎ声"